【Special Interview】磯貝部長に聞く -ブランドコンセプトは、なぜ「CARRIER DESIGN」だったのか。

をくだ屋技研のホームページや会社案内を開けば、真っ先に目に飛び込んでくる言葉。 オフィスの壁に、力強いメッセージとして掲げられている言葉。

それが、私たちのブランドコンセプト「CARRIER DESIGN(キャリア・デザイン)」です。

これは単なる宣伝文句ではありません。私たちが何を運び、どのような価値を社会に提供していくのかを示す「羅針盤」です。しかし、この言葉がいつ、どのようにして産声を上げたのかを知る機会は、これまで少なかったかもしれません。

今回は、このコピーの生みの親の一人である磯貝部長にインタビューを敢行。誕生の舞台裏と、言葉に秘められた真意を紐解きます。


1.なぜ「言葉」が必要だったのか

-「CARRIER DESIGN」という言葉が生まれる前、会社にはどのような課題や「変えたい」という空気感があったのでしょうか?

当時、私は営業部でカタログ関連の業務を担当していて、ちょうどカタログそのものを刷新できないかと考えていました。
一方で、総務部では出水さんがホームページを担当していて、デザイン会社から、HP刷新の話を受けていたと聞いています。
その中で、単なる見た目の変更ではなく、ビジュアルアイデンティティ(VI)として会社全体を整理するという提案があったそうです。
出水さんから、「これが何かのきっかけで会社が良くなるならと思っているのですが、自分一人では難しく、一緒にやりませんか」と相談を受けたのが、この取り組みの始まりでした。
私自身も、カタログ、会社案内、ホームページをそれぞれ見ていて、個々には問題がないものの、会社全体として見ると統一感がなく、何を大切にしている会社なのかが伝わりにくいと感じていました。
それぞれ別のきっかけではありましたが、「何かを変えたい」という思いが重なったタイミングだったと思います。

– プロジェクトが始動した際、磯貝さんが最も大切にしようと心に決めていたことは何ですか?

一番大切にしていたのは、「運ぶ」という考え方を外さないことです。
をくだ屋技研は、もともと高圧空気入れの製造から始まった会社です。空気を送り、使える状態にするという意味では、当時から「何かを運び、支える」仕事をしていました。
事業の形は変わってきましたが、根っこにある考え方は変わっていない。だからこそ、「運ぶ」という軸だけは外したくありませんでした。
結果的に「CARRIER」という言葉を使うことになりましたが、正直、キャリア採用の“キャリア”と勘違いされることも多く、説明が必要になる場面もありました。
それでも、会社の原点から続いている考え方を表す言葉として、この軸を外すことは考えませんでした。

– 多くの候補があったかと思いますが、最終的にこの言葉に辿り着くまでの期間や、ボツになった案のエピソードがあれば教えてください。

正直に言うと、もう10年以上前の話なので、細かいところは実のところあまり覚えていないというのが本音です。
ただ、「CARRIER DESIGN」は、最初から決めていた言葉ではなく、提案された案の一つでした。他にも、もっと分かりやすい言葉や、直接的な表現もあったと思います。
検討を重ねる中で、説明しすぎない、余白のある言葉の方がいいのではないか、という流れになっていきました。
結果として、一番削ぎ落とされていて、それでいて自分たちの仕事を表している、そう感じたのが「CARRIER DESIGN」でした。


2. CARRIERとDESIGNに込めた真意

– 「CARRIER(運ぶもの)」という言葉には、単なる荷役機器以上の意味(例えば、人の想いやキャリアなど)が込められているのでしょうか?

最初からそこまで深く考えていたわけではありません。
ただ、この取り組みを進めていく中で、私自身が 「運ぶって、そもそもどういうことなんだろう」と考えるようになりました。
英語の carry someone through
(人を支えて、困難な状況を乗り切らせる)
という表現を知ったときに、運ぶことで、結果的に人や現場を支えている、という見方ができるな、と感じました。

「DESIGN(設計・意図)」という言葉を選んだ理由を教えてください?

「design」は日本語では「設計」と訳されることが多いですが、私の感覚では、見た目というより「創造する」に近い言葉です。
何を、誰が、どんな現場で、どう運ぶのか。
安全性や効率、人の動きや負担まで含めて考える。
そういう意味で、
「運ぶ を デザインする」
という表現が一番しっくりきました。

磯貝さんの中で、この2つの単語がガチッと組み合わさった「決定的な瞬間」を覚えていますか?

いくつか提案された言葉を並べて検討している中で、「CARRIER」と「DESIGN」を組み合わせたときに、製品の話としても、会社の姿勢としても読めるな、と感じました。
「これしかない」と確信したというより、「自分たちは、こういうことをやっているのかもしれない」と思えた、という感覚に近いです。
当時はまだ、行けるかどうかを試してみよう、という段階だったと思います。


3.産みの苦しみと喜び

– コピーを考えている最中、最も悩んだことや、チーム内で意見が分かれたポイントはありましたか?

考え方や姿勢のような、形のないものをどう言葉にするか、という点が一番難しかったです。
正解がある話ではないので、「これで本当に伝わるのか?」という迷いは常にありました。

– 完成した「CARRIER DESIGN」を初めて社内で発表した時、周囲の反応はどうでしたか?

全社朝礼で発表したり、ポスターやカタログに展開しましたが、派手な反応があったわけではありません。
ただ、大きな反発もなく、静かに受け止められた印象でした。

– 磯貝さん自身、この言葉が自分の中にストンと落ちたのはどのタイミングでしたか?

名刺に採用されたときです。
名刺は、社外の方に最初に渡す、いわば会社の顔だと思っています。
そこにこの言葉が載る、という判断がされたことで、
「これは単なるコピーではなく、会社として背負う言葉なんだな」
と実感しました。

4.日常に息づくコンセプト

– 今、オフィスのあちこちにこの言葉が掲げられている光景を見て、一人の制作者としてどう感じていらっしゃいますか?

正直なところ、少しでも誰かに届いてくれていたらいいな、という気持ちで見ています。
強く主張したい言葉というより、日々の仕事の中で、ふと目に入ったときに何かを考えるきっかけになればいい。
そういう距離感で、必要なときに思い出してもらえる存在で在れたら、それで十分です。

– このコンセプトが生まれてから、社員の皆さんの意識や、製品づくり、あるいは顧客への向き合い方に変化は感じられますか?

分かりやすい大きな変化があったかというと、そこまでではないと思います。
ただ、ポスターはいまだに外されていませんし、カタログにも書かれ続けています。
そうした状況を見ると、この言葉があること自体が、だんだん自然になってきたのだと感じています。

-「CARRIER DESIGN」を体現していると感じる、具体的な製品や社内のアクションがあれば教えてください。

特定の製品というより、をくだ屋技研の仕事の進め方そのものだと思っています。


5.この言葉が導く先

– 10年後、20年後のをくだ屋技研において、「CARRIER DESIGN」はどのような存在であってほしいですか?

言葉自体は、いずれ無くなるかもしれないと思っています。
ただ、正直なところ、残っていてほしいとも思っています。

– これから入社してくる新しい仲間たちに、この言葉をどのように受け取ってほしいと考えていますか?

正解として覚える言葉ではなく、自分なりに解釈していい言葉として受け取ってほしいです。

– では最後に、磯貝さんにとって、「CARRIER DESIGN」を一言で表現すると、どのような「約束」になりますか?

モノ を 運ぶ と コト が はこぶ

それが、私にとっての「CARRIER DESIGN」です。


編集後記:インタビューを終えて

今回のインタビューを通じて、「CARRIER DESIGN」という言葉が、単なる社外向けのコピーではなく、社員一人ひとりの意識を変える**「生きた言葉」**であることを強く感じました。 バラバラだった点がつながり、一本の大きな道となった「をくだ屋技研」。その道が、日本の物流の未来をどのように照らしていくのか。OKUDAYA CONNECTでは、これからもその挑戦を追い続けていきます。


取材日:2026年1月
インタビュー協力:
株式会社をくだ屋技研
開発戦略部 部長 磯貝 弘和

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