The Logo and Me

名前が決まり、次は“顔”をつくる段階だった。
社内で立ち上がったオウンドメディアのプロジェクトに、僕もメンバーの一人として参加していた。
まずは、どんな名前にするか。
「つながり」や「人との接点」をキーワードに、さまざまな案が出た。
その中から最終的に選ばれたのが、「OKUDAYA CONNECT」という名前だった。
名前を見たとき、自然としっくりくる感覚があった。
わかりやすく、やわらかく、それでいてこの場所らしさも感じられる。
名前が決まったあとは、「ロゴはどうするか」という話になった。
担当が決まっていたわけではなかったが、自分もこのプロジェクトに関わっている以上、何か形にできたらと思い、
ロゴ案を考えてみることにした。
デザインのプロではないが、「この場所の顔」を自分なりに描いてみたくなった。
それがロゴづくりの始まりだった。
チェーン ―つながるということ―
チェーン、つまり“輪と輪がつながっている形”をロゴのベースにしようと思ったのは、
ひとつの輪ではできないことも、いくつかつながることで力になる、
“つながりの本質”をそこに感じたからだった。
輪が手を取り合っているようにも見え、どこかで誰かとつながっている安心感を、チェーンの形が表現しているように思えた。
どこかで誰かとつながっている安心感を、チェーンの形が表現しているように思えた。
そこで、実際に現場で使われているチェーンの寸法を細かく測り、輪の太さや間隔、
つながり方をデザインに反映させた。
そうすることで、「チェーン」であることが直感的に伝わりやすくなり、ロゴを見る人に自然と“つながり”の力強さを感じてもらえるよう工夫した。
それに、僕たちが携わっている運搬や現場の世界でも、チェーンはよく使われる道具だ。
その点でも、OKUDAYA の現場感と親和性があった。
技術者の視点からも納得できるシンボルだった。

O・C・W に込めた意味
ロゴの中には、O・C・W の 3 つのアルファベットが隠れている。
しかし、どれも単なる頭文字ではなく、想いを込めて選んだものだ。
“O”は OKUDAYA の O。企業としての土台であり、始まりのイメージ。
“C”は CONNECT の C。中央に配置し、色をかえて目立たせた。
まさに“つなぎ役”として、全体をつなぐ中心に位置している。
そして“W”。少し強引かもしれないが、英語で“wo(を)”を表す意味もあり、
「をくだ屋技研」の“を”としての意味も込めている。
つまり、「をくだ屋が何かと誰かを“つなぐ”」という意志を表している。
気づかれないかもしれないが、それで十分だと思っている。
小さなこだわりだが、見てくれた人に感じ取ってもらえたら嬉しい。
プロではないけれど、自分なりに
私はデザイナーではない。
専門知識もツールの使いこなしも、洗練された感性もない。
しかし、ロゴを描いている間ずっと、
「この場所がどんな風に育ってほしいか」
「誰にどういう想いを届けたいのか」
そんなことを考えていた。
色の意味、バランス、線の流れ。
迷いながら描き直し、少し進んでは戻り、試行錯誤を何日も繰り返した。
かっこいいものをつくるというより、
「ここで働く人たちが誇りに思えるものにしたい」
それが最後まで揺るがなかった軸だったと思う。
このロゴがそっと語りかけるように
こうして完成したロゴは、まだ生まれたばかりの存在だ。
これから「OKUDAYA CONNECT」に関わる記事が増え、人と人がつながり、思いが重なっていくうちに、
このロゴの意味も少しずつ深まっていく気がする。
「見たことがあるな」と思ってもらえるだけで嬉しいし、「なんだかこのロゴ、好きかも」と言われたら、
心の中でガッツポーズをしたくなる。
自己主張は強くないが、ずっとそこにあってくれる、そんな存在になれたらと思う。
このロゴが“つなぎ役”として、誰かの背中をそっと押せるように。

おわりに
ロゴを考えることで、自分自身も「つなぐとは何か」と改めて考える時間をもらったように感じる。
それはきっと、普段の仕事の中にもある大切な問いで、誰かと一緒に何かをつくる営みの根っこにあるものだ。
デザインの知識はなかったが、こうして形にしてみたことで、自分なりに見えてきたものがあった。
これからこの場所がどう育っていくかはまだ未知数だが、その入り口に立つロゴとして、
静かに、しかし確かにそこに在り続けてくれたら嬉しい。
寄稿日:2025年8月
この記事を書いた人:
株式会社をくだ屋技研
開発戦略部 部長
磯貝 弘和/Hirokazu Isogai