【中国のキーマン】日中をつなぐ信頼のリーダー、その素顔に迫る──常州鴎琵凱搬運機械有限公司(常州OPK)

インタビュー/【中国のキーマン】


中国現地法人の総経理(社長)に就任して10年以上。悩みは趣味がないこと!?

—をくだ屋技研へはどのように入社したのでしょうか。
中国の遼寧省生まれ、四川省で育った私は、1992年に日本へ留学しました。ホームステイ先の滋賀県から京都にある日本語学校に通い、1994年に京都の大学へ入学。エレクトロニクス&コンピュターサイエンスの修士号を取得しました。学生時代は、バイトをして稼ぐ必要があり、新聞配達、飲食店、引越し業者、製造メーカーの通訳など、様々なバイト経験が出来ました。

卒業後は、日本で電気メーカーに7年間エンジニアとして勤務し、カラー複合機の制御系ファームウェアの開発に関わりました。ここでは、日本と台湾のエンジニアと触れ合い、ものづくりや研究開発の考え方の土台を形成した時期ですね。

しかし、中国へ帰りたいという思いが募って。そのタイミングで奥田社長と知り合い、中国江蘇省南部の都市、常州に設立した、油圧運搬機器製造メーカー『常州鴎琵凱搬運機械有限公司(常州OPK)』を手伝ってほしいと声をかけられ、2008年に帰国し、転職しました。新たなことに挑戦したいという時期でもありました。入社時は総務部長として働き、2010年副総経理、2014年総経理(社長)に就任し、現在に至ります。

李総経理の趣味など、パーソナルな面を教えてください。
上司にも「趣味を探してください」と言われていましたが…なかなか見つかりませんね。最近はできていませんが、水泳、マラソン、山登りなど、体を動かすことは好きなタイプです。

他には、政治経済、歴史などの書籍をよく読みます。中国でも知名度の高い日本の経済学者・野口悠紀雄の著書も。アニメでは『鉄腕アトム』、『忍たま乱太郎』の山田先生が好きですね。

好きな食べ物は?
何と言っても母の手料理! 日本食ではダントツで唐揚げです。

愛車を教えてください。
日本で最初に買った車は、2003年に20万円で購入した日産「プリメーラ」です。当時の中国では珍しく、自慢できる車でしたね。今は茶色の日産「シルフィ」に乗っています。

中国のおすすめスポットは?
河南省洛陽市にある「白馬寺」。仏教が伝来してから最初に建立された中国における仏寺発祥の地です。

尊敬する人物を教えてください。
周恩来と田中角栄です。お二方を深く尊敬しています。田中角栄が日中国交正常化を果たしたため、今の私たちの関係があると言えますね。

日本と中国の違いに苦労しつつも、イチから学んで総経理(社長)に。

常州はどんな場所ですか?
常州は、江蘇省にあり、周りには観光地としても有名な蘇州、無錫が近く、アクセスが良いです。
ご当地ラーメンで「錦糸麺」があります。細麺で、スープはあっさりとした優しい味わいです。
これは常州名物の一つと言えるかもしれませんね。

2001年頃から常州へ日本企業が進出し始め、2006~2010年頃がピークだったようです。

2006年の『常州鴎琵凱搬運機械有限公司』設立当時は、周辺にあまり建物は無かったと聞いています。現在は、わずか20年弱で経済規模は約6.7倍に拡大、太陽光発電と電気自動車という新エネルギー産業を中核に据えた、「中国の新エネ都」として成長を続けています。

私は2008年に入社しており、常州OPK設立にあたっては、当時の坂元総経理、奥田副総経理(現OPKの奥田社長)、スタッフの蘇さん(現常州OPK副総経理)が一番苦労をされています。また、日本からOPKの技術者の方々がこちらの現場に来られ、忍耐強く指導頂きました。


製造経験ゼロから出発した中国の若者たちに「製造のノウハウと品質管理のDNA」を根付かせました。当時の若手たちが今では中核人材となり、日本のOPKの先輩方から学んだ管理手法を中国市場に適応させながら、中国市場でOPKブランドの確立に寄与しています。

これからも「品質第一・顧客至上」を大切に、外部環境の変動にも揺るがない強靭な企業を目指し、私自身邁進して参ります。

入社当時のエピソードを教えてください。

中国に帰国後、言葉の壁やカルチャーショックを受けました。前述のとおり、私は日本へ留学し、就職し、日本で社会観念や仕事観念の基礎を形成しています。

実際のエピソードですが、帰国するまで中国の領収書を見たことはありませんでした。

中国の領収書は独特で、知識が必要でした。しかし、周りからは出来て当たり前、知っていて当然と思われていたため、「そんな事も知らないの?」と。そのあたりは特に苦労しましたね(笑)。

同じ中国人であっても、学んできたことが違うため、お互いに理解できないというゼロからのスタート状態でした。

次回、李総経理スペシャルインタビューVol.2
■今後の展開やビジョンのこと
今後のビジョンやをくだ屋技研の未来に望むことなど

取材日:2025年4月
インタビュー協力:
常州鴎琵凱搬運機械有限公司/常州OPK/OPK CHANGZHOU CO. LTD.
総経理
/GM (General Manager)
李威(リー・ウェイ)/LI WEI 

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